【第19回JATO日本人ATCリレー形式紹介企画】

皆さん、お元気ですか? 街中は、クリスマスイルミネーションが華やかになりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、先月はアスレティックトレーニング愛に溢れた海江田さんのインタビューでしたが、今回は元JATO会長で、スポーツセーフティのパイオニアである佐保さんにお答え頂きました。佐保さんの生き様を是非一読下さい!

 

---何故ATCになろうと思ったのですか?---

 

高校時代に、アメリカの大学スポーツやアスレティックトレーナーについて書かれた雑誌の記事を読んで興味を持ったのがきっかけです。 当時、サッカーで腰を痛めており、整形外科に通っていたのですが、一向に良くならず、自分で色々雑誌や書籍を読み漁って治療やリハビリについて調べているうちに、この分野に興味を深めていきました。その後、鹿倉二郎さんの書かれたテーピングの本を読み、日本人でATCがいることを知り、自分もアメリカで学びATCになろうと思いました。その頃、鹿倉さんに手紙を送りましたが、返事はありませんでした(笑)。ご本人は、いまだにその手紙を持っているとのことです。

 

---学生、社会人時代に、印象に残っている出来事はありますか?---

 

印象に残ることは沢山ありますが、あげるとすれば南米チリで働いた約3年間は人生の中でもとても濃い思い出となっています。
Undergraduateのプログラムを終了しATCになったばかりの頃、大学院への進学など進路で色々迷っていたのですが、タイミングよくサッカーのアメリカ代表チームや北米アイスホッケーリーグ(NHL)でのインターンのお話をもらい、とりあえずはトップレベルでの現場の経験を積みたいという思いで、そちらを優先しました。その流れで長野オリンピックでの男子日本代表アイスホッケーチームの仕事も頂き、高校生の時に思い描いていた夢のような現場を新米ATCであるにもかかわらず立て続けに経験させてもらうことになりました。気が付けばあっという間に2年ほど経っており、いざオリンピックが終わってみると、バーンアウト状態になっていました。次の進路に対してのイメージが涌かず、非常に悩みましたが、気持ちをリセットする意味で、南米の一人旅を思いつき、大学時代の友人を訪ねながら旅に出ることにしました。結局、その時に訪れたチリで、友人から紹介された現地のサッカー関係者に、ATCであることやアメリカやオリンピックでの経験を話したところ、旅の途中で仕事のオファーを頂くという思いがけない展開に。そのまま日本に帰国することなくチリに残ってしまい、結局3年ほど現地のサッカー界で仕事をさせてもらいました。言葉も文化も違う土地で、突然働くことになり、最初は戸惑いしかありませんでしたが、現地の多くの方々に助けてもらいながら、とても濃い時間を過ごさせてもらいました。
帰国後、様々なスポーツ現場や起業なども経験させてもらいましたが、南米での経験のお陰で、大概の事では、驚いたり物怖じすることが無くなりました。
チリに限ったことではないですが、様々な土地で一緒に仕事をした仲間やそこでの経験は、一生の宝です。

 

---現在の仕事内容を教えて下さい---

 

10年ほど前にスポーツセーフティージャパンというNPO法人を立ち上げ、スポーツの安全に関する教育プログラムをスポーツ界の様々な方に提供しています。その他、先日のWBCや日米野球のような競技イベントにおける安全管理体制の構築サポートなどの業務も行っています。
その他は、スポーツ施設や医療施設などの立ち上げや運営のサポートなども。

 

---現在の1日の流れを教えて下さい---

 

同じスケジュールの日が殆どなく、出張などを含め毎日違う動きをしています。

 

---会長を務めた佐保さんにとってJATOとはどのような存在でしょうか?---

 

日本でのATCの認知度は以前よりは上がってきているものの、海外のライセンスであることや、一般的に職業として理解されていないことは否めません。同じバックグラウンドの人間が集まることで、存在感や発信力が高まり、我々の価値をみんなで協力して上げることが出来きるはずです。JATOは日本におけるATCの所属先として、団体が存在するだけでも意味があると思います。

 

---これからATCを目指している学生にメッセージをお願いします---

 

好きなこと見つけて、楽しんでください。

 

佐保さん、貴重なお話ありがとうございました! ATCになる為には海を渡りアメリカで勉強をしなくてはなりませんが、佐保さんは更に南米まで足を伸ばされたんですね(笑)。最後のメッセージは、探求心旺盛な佐保さんならではだとも思いました。来月は、ラグビー界で活躍されている方を紹介して頂きましたので、是非楽しみにしていて下さい!