第2回 JATO日本人ATCリレー形式紹介企画

皆さん、暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

先月より、毎月15日にJATO会員の活躍をリレー形式紹介企画として、世界各国で活躍しているメンバーをFacebookHomepage (Blog)で紹介しています。

先月は、トップバッターとして、鹿倉二郎さんに登場して頂きました。第2回目の今回は、鹿倉さんとともにJATO設立当初からJATOを支え、アスレティックトレーニングの発展に貢献されております岩﨑由純さんになります。是非、お楽しみ下さい!!

 

JATO広報委員 武井敦彦、石塚利光

 

---ATCになろうとしたきっかけを教えて下さい---

 

「中学時代にバレーボールと陸上(三段跳)をかけもちでしておりましたが、地方大会の前にケガをして困っていました。その大会会場に行くとテーピングのブースがあって巻いて頂きました。アシックスがソニー企業の輸入したテープのプロモーションをされていたようです。1973年のことです。すぐに青いプラスティック製のトレーナーキットを購入し『俺はいつかテープのプロになる!』と言い始めたようです(両親談)。それが、きっかけだったようです。」

 

---学生時代の一番の思い出は何でしょうか?---

 

「一番良かった思い出は、シラキューズ大学留学中に、当時の三段跳の世界チャンピオン、ウイリー・バンクス氏が、訪ねて来てくれたことでしょうか。陸上の国際試合などで知り合ったバンクス氏が、わざわざシラキューズのトレーナールームに来て下さったときには、スタッフがとても驚きました。その後、彼の依頼で駆けつけたインディアナポリス(1985616日)で世界記録(当時)が生まれました。自分もやっていた三段跳の選手をサポートし成功できたのは、本当にラッキーで光栄な思い出です。」

「つらかった思い出は、OPTで働いていたフィラデルフィア・イーグルズのサマーキャンプで交通事故に巻き込まれたことです。事故により2名が即死し、チームのバンが大破しましたが、自分は無傷でした。しかし、イーグルズのヘッドトレーナーで、当時のNATAエグゼクティブ・ディレクターだったオーソ・デイビス氏は、たいそう心配され、高速道路を逆走して助けに来て下さいました。現場検証の間も、警察での事情聴取の間も、デイビス氏は、朝までそばに寄り添って、あまりの出来事に手が震える自分を支えて下さいました。選手を支えるべき自分が、支えられる側に回ってしまいつらかったのですが、同時にデイビス氏から本当につらい時の心からの支え方を教わりました。」

 

---現在の仕事内容を教えて下さい---

 

1986年から2010年までNECレッドロケッツのアスレティック・トレーナーとして専属契約をしておりましたが、2011年からはコンディショニング・アドバイザーとして週に一回チームに出かけています。また、日本コアコンディショニング協会と日本ペップトーク普及協会では代表としての活動が、設立当時から続いています。現場は、若いアスレティック・トレーナーに任せて、自分はもっぱら講演やセミナーなどをしています。」

 

---現在の1日の流れを教えて下さい---

 

「現在は、移動~講演~移動の毎日です。飛行機にも新幹線にも毎年100回以上は乗って全国各地を回って、ATより、むしろ指導者に言葉がけの重要性を語っています。我々アスレティック・トレーナーがどれだけ予防措置をしても、指導者の悪口雑言によって、無理をしてケガをする選手、命を落とす選手、嫌になって辞めてしまう選手、精神が病んでしまう選手もいるからです。現在では、その考えが、学校教育、しつけにも役立つし、さらに企業でのパワハラ撲滅にもつながるとして、スポーツ界に限らずさまざまな対象に向けて話しています。」

 

---岩崎さんにとってJATOとはどのような存在でしょうか?---

 

「NATAのATCが、日本には片手に余るほどのしかいなかった時代から、ずいぶんと変わりました。JATO設立当時は、お互いに情報交換をしたり、支え合ったり、アドバイスをいただいたりしていました。自分のプロフェッションを誰よりも理解し、スポーツを心から愛する仲間に会える場所として、大事な存在、それがJATOです。今年で35回連続でNATAシンポジウムにも参加しましたが、やっぱり「仲間」の存在を大事にしたいという思いから続けています。」

 

---JATOに加入するメリットを教えて下さい---

 

「仲間に会えること、情報が流れてくること、様々なイベントやセミナーに参加できること。やっぱり様々なスポーツで活躍している、幅広い年齢層のアスレティック・トレーナーの皆さんに国内で出会えることは、素晴らしいことだと思います。こんな時代が来るなんて、30年前は思ってもいませんでした。更に大きな組織となって、日本の選手たちをケガから守る我々が、活躍できる世の中を一緒につくりましょう。」

 

---これからATCを目指している学生にメッセージをお願いします---

 

「確かに日本では、指導者もボランティアベースで動いているのが日本の大半のスポーツ界の現状です。しかし、本気でスポーツに取り組んでいる選手が大勢いることは間違いなく、そうすればケガの予防をするプロが必要なことは言うまでもありません。アスレティック・トレーナーとして、十分な報酬をいただける職場は、まだまだ限られている現状がありますが、たくさんの選手たちが必要としているプロフェッションが、アスレティック・トレーナーだと信じています。自分は同じチームでの契約が、31年目を迎えました。やっぱり現場から必要として頂ける知識、技術、経験を提供できるよう、日々の課題に取り組んで夢を実現して欲しいと思います。」

 

 

岩崎さん、講演と移動のお忙しい中、インタビューにお答えいただきまして、ありがとうございました。本当に長い間、同じチームから必要とされているアスレティック・トレーナーとしての岩崎さんの言葉に、勇気付けられました。
来月号のゲストは、岩崎さんから前JATO会長のあの方をご紹介していただいております。それでは、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。